Blogブログ

傷の正しいケア、できていますか?
〜外科医として伝えたいこと〜

2025年9月17日

こんにちは。宮国医院の宮国泰己です。
今回は、日常で意外と多い「擦り傷」「切り傷」などのケアについて、外科医としての視点からお話ししたいと思います。

私が日々の診療で強みと感じているのは、内科だけでなく外科も診られること。
「傷を診て、適切な処置ができる」これは開業医として、とても大切な役割だと考えています。当院では擦り傷・切り傷、出血のコントロール、消毒・洗浄、膿の処置など、外科的なケアに対応しています。

しかし、日々の診療の中で、「いまだに間違った傷のケアが世間に広まっているな」と感じることが多くあります。
その一部をご紹介しながら、現代医学に基づいた正しい傷のケアについて、わかりやすくお伝えします。

「傷は濡らしてはいけない」はもう古い?

「傷を水で濡らしてはいけない」「お風呂に入るときはサランラップを巻く」
こうした昭和時代のケアが、今でも信じられていることがあります。

しかし、現在の基本は「まずはしっかり洗う」こと。
擦り傷や切り傷は、まず石けんやハンドソープと水でよく洗うのが鉄則です。

これは、傷の中や周囲に付着した細菌を物理的に洗い流すため。
細菌の侵入や繁殖を防ぐことが、早く・きれいに傷を治すための第一歩なのです。

傷をきれいに治すための4つのポイント

傷を早く治すためには、次の4つが大切です:
1. 傷を清潔に保つこと
2. 栄養状態を良くすること(たんぱく質やビタミンの摂取など)
3. 血流をよくすること(冷やしすぎず、適度に動かす)
4. 乾燥よりも「湿潤(しつじゅん)」を意識すること

特に注目したいのが「湿潤環境下療法(moist wound healing)」です。
昔は「かさぶたを作って乾かす」ことが良いとされていましたが、現在では適度な湿り気を保つことで皮膚の再生が早まり、よりきれいに治るとわかっています。

ドラッグストアなどで見かける「傷パワーパッド」などの湿潤タイプの保護材も、この考え方に基づいて作られています。

感染している傷には注意!

ただし、すべての傷に湿潤療法が良いわけではありません。
以下のような症状がある場合、傷が感染している可能性があります:

・傷から黄色っぽい液体や膿のようなものが出ている
・傷の周囲が赤く腫れていて、熱を持っている
・白いかさぶたのような膜が覆っている
・強い痛みが続く

このような場合に湿潤環境を保つと、かえって細菌が繁殖しやすくなり、悪化してしまうこともあります。
まずは感染のコントロールが最優先。
必要に応じて抗菌薬や医療処置を行ったうえで、湿潤療法を併用することが大切です。

消毒より「よく洗う」が基本

以前は「まず消毒」が当たり前でしたが、今では「消毒剤は正常な細胞まで傷つけてしまう」という点が問題視されています。
また、菌がしっかり洗い流されていない状態で消毒しても、効果が薄いとされています。

そのため、現在のスタンダードはこの流れです
・石けんやハンドソープなどと水でしっかり洗う
・ 必要に応じて軟膏を使う
・湿潤環境を保つ
「洗って、保湿する」が基本です。

傷のこと、気軽にご相談ください

私はこれまで約20年にわたり、数多くの傷を診てきました。
「擦り傷や切り傷はどこに行ったらいいのかな?」
「これくらいの傷で病院に行ってもいいのかな?」と思う方も多いかもしれませんが、自己流の処置で悪化させる前に、ぜひご相談いただければと思います。

正しい処置を早い段階で行うことで、治りも早く、傷跡も最小限に抑えることが可能です。
擦り傷・切り傷・化膿など、どんな小さなことでも構いません。

お困りの際は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。