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Serendipity(セレンディピティ)~ふとした偶然から~
2025年7月4日
みなさんは、こんな経験はありませんか?
たまたま入ったお店が、いつの間にかお気に入りの場所になっていたり、ふと耳にした音楽が心に残って何度も聴くようになったり。偶然出会った人が、気の合う仲間になっていたり。
思いがけない偶然が、思いもよらない素敵な出会いや発見につながることがあります。そんな幸運な巡り合わせを、「Serendipity(セレンディピティ)」と呼ぶのだそうです。
忙しい毎日の中では、気づかないうちに心も身体も疲れをためてしまいがちです。そんなとき、ふとした瞬間に訪れる“偶然の出会い”が、そっと心をゆるめてくれることがあります。
私自身、通勤時間にはなるべく本を読むようにしています。でも正直なところ、ついスマートフォンに手が伸びて、ニュースやSNSを眺めてしまうことも少なくありません。それでも、ほんの10分でも本を開くと、気持ちが整理され、心が静かに落ち着いていくのを感じます。ページをめくる中で、普段見過ごしている気持ちや視点に出会うことがあり、それもまた、日常の中の小さな“セレンディピティ”なのかもしれません。
ある休日、なんとなく立ち寄った小さなカフェ。特に有名でもなく、目立つ外観でもないのに、なぜか心惹かれるものがありました。扉を開けると、やわらかな光と静かな音楽が流れ、壁には本がさりげなく並び、「ここでゆっくり過ごしていってください」と語りかけられているような空間が広がっていました。
お気に入りの本を手に取り、ページをめくりながら、運ばれてきたコーヒーの香りにふと顔がほころぶ。ゆっくりと流れる時間の中で、そんな何気ないひとときが、心に深く残ることがあります。
たまたま手に取った本、なんとなく入ったお店──。
そんな何気ない選択が、気持ちを前向きにしてくれたり、新しい視点を与えてくれることもあるのです。
私たちは、つい効率や予定どおりの行動を重視しがちですが、ときには流れにまかせて過ごしてみることも大切なのかもしれません。ふらりと入ったお店で飲む一杯のコーヒー、一人静かに読む本、誰かとのちょっとした会話、どこかから聞こえてきた音楽。そんな小さな瞬間が、かたくなった心をゆっくりとほぐしてくれることもあります。
“偶然”という名の小さなギフト。
それを受け取る余裕を、私たちは忘れずにいたいものです。
そしてもし、このクリニックで、あなたがそんなセレンディピティを感じてくれたなら――
それは、私たちにとって何よりの喜びです。