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本屋に行くとトイレに行きたくなったことはありませんか‥?
〜過敏性腸症候群のおはなし〜
2025年7月4日
こんにちは!宮国医院の宮国泰己です!!
今回は、ちょっとユニークで共感する人が多い現象、「青木まりこ現象」についてご紹介します。
◆ 「本屋に行くと、なぜかトイレに行きたくなる」?
「本を探していると急にお腹が…」「書店に入るたびにトイレに駆け込むことがある」──
そんな経験、ありませんか?
実はこれ、ある程度知られている現象で、「青木まりこ現象」と呼ばれています。
◆ 名前の由来は?
この現象は、1980年代にある女性(青木まりこさん)が雑誌に投稿した「本屋に行くと便意を催す」という体験談が、多くの共感を呼んだことから名づけられました。今ではSNSでも「私もそう!」と話題になることが多く、“都市伝説”のように語られることもあります。
◆ 原因は? そして医学的な視点では?
青木まりこ現象には正式な医学的定義はありませんが、いくつかの説が考えられています。
・本や紙、インクのにおいが自律神経に影響を与える説
・書店や図書館などの静かな環境で副交感神経が優位になり、腸の働きが活発になる説
・「本屋=トイレに行きたくなる場所」という記憶による“条件反射”
こうした心理的・身体的な要因が複雑に関係している可能性があります。
ここで関連してご紹介したいのが、「過敏性腸症候群(IBS)」という疾患です。
◆ 「緊張」や「ストレス」でお腹がゆるくなる…それ、過敏性腸症候群かも?
過敏性腸症候群(IBS)は、明確な器質的異常(病気そのもの)がないのに、お腹の調子が不安定になる慢性的な消化器のトラブルです。
症状としては、
・腹痛・腹部不快感
・繰り返す下痢や便秘(またはその両方)
・排便後に症状が軽くなることが多い
・特定の場面(通勤途中、会議、旅行先など)で便意を強く感じる
などが挙げられます。
実はこの過敏性腸症候群、日本人の約10~15%に見られるといわれており、特に20~40代の働き盛り世代に多くみられます。
男女ともに見られますが、便秘型は女性に多く、下痢型は男性にやや多い傾向があります。
◆ IBSと青木まりこ現象の共通点
青木まりこ現象が一時的な「条件反射」のようなものだとしても、もしそれが頻繁に起こったり、「またトイレに行きたくなるかも…」という不安が外出に影響している場合は、IBSの可能性も視野に入れる必要があります。
特に以下のような方は、注意が必要です:
・どこへ行くにも「トイレの場所をチェックしないと落ち着かない」
・電車やバス、会議中など、“逃げられない状況”が苦手
・特定の時間帯(朝の通勤前など)に症状が強く出る
・検査では異常がないのに、ずっとお腹の不調が続く
過敏性腸症候群はストレスや自律神経のバランスが大きく関わっているため、症状を軽く見ず、生活習慣や心のケアとあわせて治療していくことが大切です。
◆ セルフケアでできることは?
軽度のIBSであれば、生活の中で次のような工夫が効果的です。
・食生活の見直し:脂っこいもの、カフェイン、冷たい飲み物は控えめに
・食物繊維のバランスをとる(便秘型は水溶性、下痢型は不溶性に注意)
・適度な運動やストレッチで腸の動きを整える
・ストレスケア:睡眠、深呼吸、趣味の時間を意識的に持つ
・トイレが近くにある環境で安心して過ごす工夫も大切です
これらの対策でも改善しない場合は、お薬(整腸剤、腸の運動を整える薬、抗不安薬など)による治療も選択肢の一つです。気軽にご相談ください。
◆ まとめ:気になるようなら、抱え込まずにご相談を
青木まりこ現象は多くの人に見られる「ちょっと不思議な体験」ですが、似たような状況でお腹の不調が繰り返される場合、それは身体からの小さなサインかもしれません。
「自分だけじゃない」と安心すると同時に、もし気になる症状がある方は、無理せず専門医にご相談ください。
宮国医院では、過敏性腸症候群などの消化器のご相談も受け付けております。
ちょっとしたお腹の悩みでも、お気軽にご相談ください。